ドラッグストアは数少ない成長産業
ツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本
代表取締役社長
村上 正一
ドラッグストアはなぜ、これからも成長し続けるのか。業界の未来、地域に近い店の価値、そして人を活かす組織づくり。TGN代表・村上社長が、現場と経営の両視点から描くこれからのドラッグストアの姿と、会社が目指す未来を語ります。
成長が約束されたドラッグストア業界
ドラッグストア業界を「数少ない成長産業」と見ている理由は何ですか?
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村上社長
日本は高齢化や少子化でネガティブな話が多いですが、その中でもドラッグストアには成長の幅があると思っています。高齢化が進むと体の調子が悪くなる方が増えるので、予防領域や治療領域のマーケットはまだまだ大きくなります。
さらに社会保障制度も今のまま続くとは思いにくいので自分の健康は自分で守る流れが強まっていく。そうなると、私たちが扱う分野のマーケットは広がっていくと考えています。
これからの時代に、店舗が近くにある価値はどこにあると考えますか?
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村上社長
これからは男女問わず社会で活躍する人が増え、結果的にみんな忙しくなっていきます。大きなお店でゆっくり買い物したい気持ちはあっても、日々の買い物はクイックに済ませたい。
そのときに、生活者のすぐ近くにお店があることは非常に大きな価値になります。ネットの需要が伸びても、リアル店舗の「近さ」と「便利さ」は今後も必要とされ続けると思っています。
生活のすぐそばで、人の役に立てる
そもそもTGNとは、どんな会社ですか?
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村上社長
正式な社名は「株式会社ツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本」で長いので、覚えやすくするために頭文字を取ってTGNにしています。
事業としてはドラッグストアの運営です。特に当社は調剤薬局を併設したドラッグストアを基本フォーマットとして、中国地区を基盤に九州の方まで店舗を広げています。
今、どれくらいの店舗数・薬局数があるんですか?
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村上社長
店舗は350〜360店舗ほど、薬局は130ほどあります(2023年10月撮影時点)。ドラッグストアに併設している薬局もあれば、単独で運営しているものもあります。中国エリアシェアはナンバーワンです。
地域に根ざし、全国につながるTGN
調剤薬局の併設は、どういう流れで強化してきたんですか?
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村上社長
昔は病院の中で薬をもらう形が一般的でしたが、制度変更で処方箋を持って「どこの薬局でもいい」という形に移っていったのが、歴史で言うとまだ20数年です。
ドラッグストアは元々OTCや日用品、化粧品が中心でしたが、地域のお客様の病気を治す、予防していくとなると、調剤機能が必要になってきた。医療制度の変更の中で、徐々に調剤事業を店舗に取り込んできたという流れです。
参入時期の早い遅いなど会社ごとの違いはありますが、業界としては調剤機能を強化する方向に動いています。
TGNはブランドが複数あると聞きました。どんなブランドで展開しているんですか?
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村上社長
山陽エリアは「ウォンツ」、山陰エリアは「ウェルネス」、九州は「ツルハドラッグ」の3ブランドで展開しています。それぞれの地域で長く親しまれてきた名前を大切にしています。
なぜブランド名を統一せず、地域の看板を残しているんですか?
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村上社長
ウォンツやウェルネスは地域でのシェアが高く、店舗数も業績も含めてお客様に支持されてきた背景があります。浸透しているブランドをわざわざ看板だけ変えて本当に良くなるのか、逆にお客様が混乱しないか、そういった判断もあります。
馴染んだ名前を活かしつつ、大手チェーンとしての強みをプラスして便利に使っていただく方がいいと考えて継続しています。九州は強い屋号がなかったので新しく出店するなら全国展開のツルハドラッグのブランドでいこう、という考え方です。
お客様は「どこの会社が運営しているか」を意識していますか?
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村上社長
おそらくあまり意識されないと思います。飲食チェーンでも運営会社より「その店が好きだから行く」という感覚じゃないですか。
店舗運営も同じで、お客様が重要視するのは欲しいものがあるか、行きたい場所にあるか、価格が適切か、健康や美容の悩みを解決してくれるか。そういった点だと思います。
数字より、人とチームを大切にする理由
店舗数も人も多い中で、運営で大事にしている考え方は何ですか?
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村上社長
仕事を単純化する、ということです。社員にたくさんのことをお願いしすぎない。例えば店長に「売上予算の責任」を負わせていません。
店長にお願いしているのは、お店の責任者として人・物・設備・お金、そして大事なお客様に対して、きちんとした運営をする事です。
店舗の従業員は15〜20人規模で、1人ではできないので、重要なのはチームワークや声かけ、コミュニケーション、面談など、人をまとめていく部分です。
なぜ店長に売上目標を背負わせないのですか?
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村上社長
店舗の売上は競合店の出店や地域の人口変化など、店長だけではどうにもならない要素が多いからです。
それにチェーンストアでは、扱う商品や価格は本社側である程度決める。店長が自由に決められる範囲が限られているのに、売上だけ責任を負わせるのは違うと思っています。権限に応じた仕事をできるだけシンプルにする、という考え方です。
TGNが目指すドラッグストア像を教えてください。
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村上社長
地域のヘルスケアの悩みを解決したい、ビューティーケアの悩みも解決したい、そして便利なお店でありたい。この3つが軸です。
具体的には、薬剤師による調剤・OTC相談、登録販売者の資格取得推進、管理栄養士による食事・運動指導やサプリのカウンセリング、ビューティーアドバイザー育成などで専門性を高める。
さらに食品、日用品、100円ショップの導入などで「生活の近くにある便利さ」を強化していく。健康と美容の専門性、便利さの両方を備えた店づくりを大事にしています。
ドラッグストアなのに食品がすごく安いのは、なぜですか?
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村上社長
シンプルに言うと、利益率が高い分野(薬や化粧品など)と、日々使う分野(食品や日用品など)の役割分担があります。
食品や日用品は使用頻度が高いので価格を抑えて来店頻度を上げる。お店は行く回数が増えるほど距離が近くなるので、日々使っていただき、体調が悪い時には調剤や薬剤師相談にもつながっていく。そういう使われ方を目指しています。
会社と一緒に、成長していく未来
TGNの売上規模や、収益について教えてください。
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村上社長
今期目標は年商1500億円です(2023年10月撮影時点)。収益率は上場企業の中ではおそらく日本のドラッグストアでナンバーワンだと思っていて、7〜8%くらい出ています。細かく「どう儲けるか」を考え込むというより、いいものは広げる、失敗したらやめる、社員のアイデアを活かす、無駄な作業をやめて生産性を上げる。基本はそれです。
意思決定のスタンスとして、大切にしている考え方は?
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村上社長
いいことはいい、失敗したらやめればいい。いいことは広げればいい。社員にもいいアイデアを持っている人がたくさんいますから、それいいじゃない、それやったらいいじゃない、っていう話なんです。
あとは無駄な作業をどんどんやめて、シンプルに自分の仕事をしてもらえる環境を作る。それが生産性を上げる第一歩だと思っています。
最後に、TGNの未来をどう描いていますか?
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村上社長
中期計画としては、売上2000億円、店舗数500店舗を今の展開エリアで実現する目標があります。数字の目標がないと進めないので、指標として置いています。
ただ大きく言えば、予防・治療領域のマーケットは拡大していくし、忙しい時代に生活者の近くにある便利なお店の価値も上がっていく。だからドラッグストアは成長産業だと確信しています。
会社が成長する中で、社員やスタッフも会社と共に充実した人生を送っていければいいと思っています。
